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パーキンソン病パーキンソン病

パーキンソン病とは、振戦、無動、筋拘縮、姿勢反射障害を四大症状とする神経変性疾患のひとつで、アルツハイマー病に次いで頻度の高い変性疾患で約1000人に1人といわれています。

また、高齢者に多く65才以上では100人に1人が発症します。病態は、脳内のドーパミンの不足とアセチルコリンの相対的増加により錐体外路症状をきたす進行性の疾患です。なぜドーパミン不足に陥るかという原因は不明であり、日本では難病に指定されています(ただし、Yahr分類Ⅲ度以上)。そのため根本的治療は2014年現在でも確立していませんが、L-dopaやドーパミン作動薬などの対処療法の研究、発展によって、予後の延長やQOL(=quality of life)の向上につながっています。

まず、発症のメカニズムについてお話します。まず正常な状態では、脳幹上部の中脳の黒質の神経細胞は、大脳中心部の線条体に枝(軸索)を延ばしており、さらに線条体の神経細胞は大脳の運動連合野に枝(軸索)を延ばしています。こちらはスムーズな運動の調節に関係します(運動系)。

また、黒質の神経細胞は海馬、嗅神経、大脳の前頭葉、辺縁系にも枝(軸索)を延ばしています。こちらは精神症状や認知機能に関係します(非運動系)。このように神経細胞は他の部位の神経細胞に軸索という枝を伸ばし、神経伝達物質がその枝を使って作用します。黒質はドーパミンが製造される部位で、ここではドーパミンという神経伝達物質が中心的な役割を担っています。

パーキンソン病では、黒質のドーパミン細胞が著明に減少するため、運動の調節に破綻を来し、振戦がでたり、体が硬くなったりします。また精神症状や認知症などの症状も出現します。運動症状は線条体、運動連合野へのドーパミン不足による症状であり、精神症状や自律神経症状、嗅覚低下は海馬、前頭葉、辺縁系へのドーパミン不足による症状と考えられています。また、黒質の変性した部分にはレビー小体が認められるのが特徴です。黒質の変性にはα-シヌクレインの蓄積が関係していることが分かっています。



- インフォームドコンセントのための図説シリーズ パーキンソン病 p.15より引用 -


症状は、運動症状と非運動症状に分けられます。
運動症状には、振戦、筋拘縮、無動、姿勢反射障害(四大症状)がみられます。振戦は1秒間に10回程度の比較的ゆっくりしたふるえが手足や口唇に出ます。安静時に目立ち、動作を開始すると消失することが多いのも特徴です。

筋拘縮は、筋肉に一定の緊張があり,うまく力を抜くことが出来ず、関節を動かしたときに、まるで渋い歯車を回している感じになります(歯車様筋拘縮)。 無動は、動きが全体的にゆっくりとなり、歩幅が狭くなったり、動作の開始がスムーズでなくなり、表情も乏しくなり、小声になったりします。姿勢反射障害はバランスを崩したとき、脚の一歩がでないため転倒しやすくなる症状です。しばしば棒の様に倒れ、後方に倒れやすくなります。

非運動症状は精神症状と自律神経症状と嗅覚低下に分けられ、精神症状は抑うつ、不安、睡眠障害、認知機能障害などで、自律神経症状は頻尿、起立性低血圧、便秘などです。

重症度分類には、Yahr分類や生活機能障害度による分類などがあります。Yahr分類はⅠ度からⅤ度まであり、Ⅰ度片方の手足のみの症状で、日常生活への影響は極めて軽微、Ⅱ度両側の手足に症状がみられ、日常生活に多少の不自由ありで、歩行障害はないかあっても軽微、Ⅲ度は歩行障害が出現し、姿勢反射障害もあり、方向転換時に転び安くなり、職業に制限が出るが状態、Ⅳ度無動、姿勢反射障害が高度になり、容易に転倒し、日常生活に著しい障害がある状態、Ⅴ度は、立つことも不可能で、寝たきりまたは車いすの状態です。

生活機能障害度は、1度から3度に分類去れ、1度は日常生活、通院にほとんど介護を要さない状態、2度は日常生活、通院に介護を要する状態、3度は日常生活に全面的な介護を要し、歩行、起立不能な状態です。Yahr分類Ⅲ度以上、生活機能障害度2度以上で、厚生労働省の特定疾患の認定対象となります。

パーキンソン病の根本的治療法はまだ確立していません。パーキンソン病では脳内のドーパミンが不足するため、それを補う治療、投薬治療が中心です。パーキンソン病の薬には、L-dopa、ドーパミン受容体作動薬、COMT阻害薬、MAO阻害薬、抗コリン剤、アマンタジン、ドロキシドパ、ゾニサミドなどがあります。

L-dopaは、脳内に不足しているドーパミンを直接補充する薬です。パーキンソン病治療の中心となる薬です。脳と血管の間には、血液脳関門(=blood- brain barrier)があり、ドーパミンは血液脳関門を通過出来ませんが、L-dopaは血液脳関門を通過し、脳神経に取り込まれてドーパミンへと変化し、パーキンソン病の症状を改善します。短時間で分解されるため、ドーパミンが足りなくなるとパーキンソンの症状が悪化します(wearing off)。その場合はL-dopa投与の回数を増やす必要が出てきます。

また、ドーパミンが増えすぎるとジスキネジアという不随意運動が出ます。ただし、ジスキネシアはドーパミンが不足した場合も出ることがあるため注意が必要です。ドーパミン受容体作動薬は不足したドーパミンの代わりにドーパミン受容体に結合し、ドーパミンと同じ働きをします。

ただし、L-dopaより効果は劣りますが、wearing offやジスキネジアの出現を遅らせます。麦角系と非麦角系のドーパミン受容体作動薬があり、心臓弁膜症を起こしにくい非麦角系ドーパミン受容体作動薬が第1選択となります。COMT阻害薬は脳内に入る前のL-dopaを分解する酵素COMTの働きを阻害し、脳内に入るL-dopaの量を増やします。L-dopaと併用で使います。MAO阻害薬は、脳内に入った後、ドーパミンを分解する酵素(MAO)の働きを阻害し、脳内のドーパミンを増やす薬です。抗コリン薬は、ドーパミンが減少し、過剰となっているアセチルコリンの働きを抑制する薬です。

振戦が改善しないとき他の薬剤に追加して使います。緑内障、前立腺肥大には禁忌です。高齢者や認知症のある方にも適しません。アマンタジンは神経細胞からのドーパミンの遊離を促進させ、ドーパミンを増やす薬です。尚、アマンタジンはA型インフルエンザにも有効です。ドロキシドパは、ノルアドレナリンの前駆物質であり、パーキンソン病が進行すると、脳幹の青斑核の変性を来しノルアドレナリンが減少し、すくみ足などの症状が出るため、ノルアドレナリンを増加させる目的の薬です。ゾニサミドはジスキネシアの悪化防止やoff時間の短縮のための薬です。



- パーキンソン病とともに グラクソ・スミスクライン株式会社 より引用 -

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パーキンソン病治療薬を突然中止すると、突然ドーパミン不足になるため悪性症候群(発熱、錐体外路症状、横紋筋融解症、意識障害,頻脈、呼吸促迫など)をひき起こす危険性があります。悪性症候群は恐ろしい疾患で、急性腎不全などにて命を落とす危険性があります。パーキンソン病治療薬はけして自己判断で中止しないで下さい。また、悪性症候群は向精神病薬の大量投与によるドーパミD2受容体の遮断によって起こる場合もあります。悪性症候群の原因は突然ドーパミン作用が不足することで起こると考えられています

投薬治療が充分にきかなくなったパーキンソン病患者に対して、DBS治療などの外科的治療があります。DBS治療は電極を脳の深い部分(視床下核、視床VIM核、淡蒼球)などに植え込んで弱い電流を流して症状を改善させる治療であり、脳のペースメーカーともいわれています。また、もう一つの外科的治療としては、ドーパミン細胞を脳に移植する研究が進められており、最近話題のiPS細胞からドーパミン産生細胞を作成し、脳に移植する研究は動物実験(サル)が行われている段階です。近い将来、根治的治療としての実現が期待されます。

パーキンソン症候群パーキンソン症候群

パーキンソン症候群は、パーキンソン病以外でパーキンソニズム(パーキンソン病様の症状)を来す疾患です。

パーキンソン症候群は、変性疾患によるパーキンソニズムと薬剤性パーキンソニズム、脳血管性パーキンソニズムに分類され、変性疾患としては、多系統萎縮症(黒質線条体変性症)、大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺などが上げられます。薬剤性パーキンソニズムの原因薬剤は、向精神薬(コントミン、セレネース、ドグマチール)抗潰瘍薬(ドグマチール、プリンペラン)、降圧剤(アルドメット、アポプロン)などです。脳血管性パーキンソニズムは、多発性脳梗塞やBinswanger病などがあります。

薬剤性パーキンソニズムの治療は原因薬物の中止であり、他のパーキンソニスムには抗パーキンソン病薬も投与出来ますが、効きはよくありません。パーキンソン症候群はパーキンソン病より安静時振戦が目立たないのも特徴です。鑑別のための検査としては、MIBG心筋シンチグラフィーが挙げられます。これはMIBGはノルアドレナリンと同様の働きをする物質で、交感神経終末に取り込まれますが、パーキンソン病では、発症早期からMIBGの取り込みが低下します。パーキンソン症候群ではMIBGの取り込みは低下しないため、鑑別診断に用いられます。



- インフォームドコンセントのための図説シリーズ パーキンソン病 p.18 より引用 -

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医院概要 医院概要

医院名 おおくぼ脳脊椎クリニック
診療科目 脳神経外科・内科
住所 茨城県土浦市並木5-4079-1
電話番号 029-832-8732
診療時間 日祝
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